政府は23日、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急経済対策策定に向け、宿泊、観光と運輸関係者からヒアリングした。宿泊業界からは日本旅館協会の北原茂樹会長が出席。「リーマンショックや東日本大震災以上の甚大な被害」とし、資金繰り支援の大幅な拡充や既往債務の返済猶予など5項目を要望した。
北原氏は「新型コロナウイルスの感染拡大で日本人、外国人ともに宿泊キャンセルや予約控えが進み、リーマンショックや東日本大震災以上の甚大な被害になっている」と説明。
その上で「リーマンショックや東日本大震災以上の大胆な支援措置を講じてほしい」と求めた。
具体的には、資金繰り支援の大幅な拡充(新型コロナウイルス感染症特別貸付の融資限度額、利子補給対象上限額の引き上げ)▽既往債務の返済猶予(政府系金融機関、民間金融機関に対する既往債務の返済を1年間猶予)▽雇用調整助成金の大幅な拡充、申請手続きの迅速化、簡素化(全国規模で助成率の引き上げ、支給限度日数の延長、対象者に非正規雇用者の追加、申請から支給までの期間短縮)など。固定資産税をはじめとした公租公課やNHK受信料の減免、状況が落ち着いた後の旅行需要喚起策の大規模な実施も求めた。
旅行業界からは日本旅行業協会の坂巻伸昭副会長、全国旅行業協会の近藤幸二副会長が出席した。
坂巻氏は「1・5兆円の旅行消費が毎月消えていく状況」、近藤氏は「会員5600社が未曽有の経営危機に直面している」とし、雇用調整助成金の拡充や修学旅行の確実な実施に向けた教育委員会への指導、収束後の大規模な旅行需要喚起キャンペーンの実施を求めた。
安倍晋三首相は事業の継続や雇用の維持とともに、旅行需要のV字回復に向けた施策に取り組む考えを述べた。
政府による23日のヒアリング(写真・首相官邸ホームページから)